*9月26日* ―それでも君が好き―
3人で他愛のない話をしていたら 時間は簡単に過ぎていってしまった。
あれれ? 剛を見るためにいたのに。
「奈穂? まだいてくれたの?」
気が付いたら辺りは真っ暗で 野球部の活動も終わっていた。
「剛 もうこんな時間か。」
立ち上がって剛に駆け寄った。
「ずっといたの? この人は?」
剛が私の隣に座っていた相澤くんをじろじろ見ながら聞いた。
「あっ こちらはクラスメイトの相澤くん。」
紹介された相澤くんは 徐に立ち上がり言った。
「相澤 怜邪。高木とはすごく仲良くさせてもらってまーす。」
何だか すごく冷ややかな言葉だった。
それに敏感に反応した剛が 相澤くんに詰め寄りながら ギロッと睨んで言い返す。
「奈穂に手出したらマジで許さないから。」
ドクッと高鳴る鼓動。
何やらにやにやしながら私たちを見守る潤。
「なっ 剛違うよ。 相澤くんはそんなことしないから! お友達だよ。 誤解だからっ。 2人とも 仲良くして。」
ぎろぎろ睨みあう2人は 端から見たらかなりの修羅場だったと思う。
あたふたする私に気付いたからか 剛が相澤くんから目を離した。
相澤くんも穏やかな表情に戻ると 持っていたジュースを飲みほした。
「あれっ 怜邪待ってたの?」
そこに佐々木君もやってきて 私と相澤くんは少し焦る。
"……別に 何も感じない。"
潤のあまりにストレートな発言。
こっからどう協力しろって言うんだっ。