*9月26日* ―それでも君が好き―
「奈穂 最近佐々木とも仲良いよね。」
私に背中を向ける砂依が言った。
ちゃんと聞こえた。
「……相澤くんとも 仲良いじゃん。」
ざわざわと騒がしい教室に しっかりと私に届く2人の会話。
夏架? 砂依?
……もしかしてさ 相澤くんのこと…。
「ねぇ夏架。 この前一緒にご飯食べたA組の里香ちゃんも 相澤くんがすきなんだって。 私……」
見るからにどんよりとした背中。
砂依は…相澤くんが好きなの?
そんなの 知らなかったよ私。
「砂依…?」
思わず 声をかけてしまった。
「……もしかして…いやもしかしなくても…」
私の声に夏架と砂依はビクッと反応して 徐に私の席から離れた。
だから 距離を…。
私が砂依の好きな人である相澤くんと仲が良いから。
何よ 女って怖い。
言えば済むことをわざわざ溜め込んで。
そこでチャイムがなってくれて良かった。
冷静に考えることができたから。