*9月26日* ―それでも君が好き―




「奈穂 最近佐々木とも仲良いよね。」


私に背中を向ける砂依が言った。


ちゃんと聞こえた。


「……相澤くんとも 仲良いじゃん。」


ざわざわと騒がしい教室に しっかりと私に届く2人の会話。


夏架? 砂依?


……もしかしてさ 相澤くんのこと…。


「ねぇ夏架。 この前一緒にご飯食べたA組の里香ちゃんも 相澤くんがすきなんだって。 私……」


見るからにどんよりとした背中。


砂依は…相澤くんが好きなの?


そんなの 知らなかったよ私。


「砂依…?」


思わず 声をかけてしまった。


「……もしかして…いやもしかしなくても…」


私の声に夏架と砂依はビクッと反応して 徐に私の席から離れた。


だから 距離を…。


私が砂依の好きな人である相澤くんと仲が良いから。


何よ 女って怖い。


言えば済むことをわざわざ溜め込んで。


そこでチャイムがなってくれて良かった。


冷静に考えることができたから。




< 34 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop