*9月26日* ―それでも君が好き―




みんなで食べたご飯は本当に楽しかった。


佐々木くんは潤にばかり話しかけていて 潤以外は佐々木くんの気持ちを知っている。


剛は佐々木くんと同じ野球部だから仲も良い。


相澤くんは何かと絡んできて 剛の視線が気になった。


不思議な組み合わせの私たちだけど 複雑な形のピースがぴったり組合わさったパズルのように 私たちは本当に仲が良かった。


A組の4人の女の子は 里香ちゃんに彼氏ができたのがきっかけで 一緒にご飯を食べることはなくなった。


…まだ相澤くんのことは諦めてないとか聞くけれど。


その日の放課後だった。


掃除当番の私は 黒板を消していた。


グラウンドでやっている野球部を見ていたくて ゆっくりやっていたら 他のみんなはもう教室にいなくなっていた。


ピカピカの黒板をもう一度消して 挙げ句の果てには 窓からじっくり見てしまっていた。


そこに…。


「わっすれっもの〜。」


あっ 佐々木くんの声だ。


振り返ると 廊下で立ち尽くす佐々木くん。


この時間に私がいるのに驚いているみたい。


「何忘れたの?」


「……英語のファイル。」


「そう。」


何となく 1人が虚しかったから 佐々木くんが後ろにいる安心感に ちょっとだけ思い出してしまった。


"相澤くんとも仲良いじゃん。"


"私……"


2人の 私を軽蔑する目を。




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