*9月26日* ―それでも君が好き―

*5月10日* 夏架と砂依





次の日 2人は確実に私を避けていた。


朝の「おはよ。」も 他愛ない会話も 互いに見せる笑顔もなくなった。


自分があまりに惨めで 恥じらわしかった。


クラスに居場所がない。


人見知りで 初めからクラスで出遅れていたものの 夏架と砂依がいなくなったらこんなにも孤独になるの?


休み時間をトイレや廊下をうろついて過ごすようになった 避けられて2日目の今日この頃。


「はぁ…。」


8日に 佐々木くんに見せてしまった涙。


何も言わずに寄り添ってくれたことに感謝した。


「……はぁ…。」


そろそろ授業始まるし 教室に戻らないと。


分かってはいるけど重たい足。


トイレの個室に居心地の良さを感じるだなんて 私は本当に寂しい子。


そこに タタタタって2つの足音が駆け込んできた。


「もぉ夏架 トイレは早く済ませてよ!!」


「ごめーん なんか急に行きたくないって。」


ドキッ。


夏架と砂依だ。


息を殺して 鍵がかかっているのを再確認する。


「…ねぇ 奈穂どうするよ?」


……私のこと。


やっぱ かなり怒ってたんだ。


「砂依に任せるよ。 私も別に うざいだけだし。」


………え?


「相澤くんかっこいいねって 話したことあるのに。 まぁ言ったのは夏架だったけどさ 普通それで気付くよね。」


……っはぁ? なにそれ。


「またまたー。 ただうざいだけだって言ってたじゃん。」


「だって 彼氏いて良い子ぶってて評判よくて 更に相澤くん!?って思わなかった?」


……ただうざいだけ? 良い子ぶってて?


「思ったから避けてんじゃん?」




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