*9月26日* ―それでも君が好き―
まだまだ春の暖かな陽気。
入学式に比べたら大分暖かくなった。
でも 私の心の中は冷たかった。
「……はぁっ…高木が走っていったから…。」
ゆっくり近付いてくる。
一昨日も 何かと期待していたのかな。
誰かが私に気がついて 「大丈夫?」って言ってくれるのを。
…ううん 違う。
佐々木くんに 「大丈夫?」って言われるのを。
「…ん。」
伏せていた目を上げると 佐々木くんがハンカチを差し出してくれた。
「まず 泣けばいいよ。」
「……え…。」
びっくりしている私に にこって優しく微笑んでくれた佐々木くん。
その笑顔に ドキッて高鳴る胸。
湧き上がる罪悪感。
浮かぶ剛の顔。
だけど私はもう 迷わなかった。
「…いっぱい泣きな?」
私の前に跪いて そっと私の頬に触れた。
「……っ…たすけてっ…。」
私が望んでやったこと。
最低な女かもしれない。
……佐々木くんの胸をかりたんだ。