*9月26日* ―それでも君が好き―




しばらく 泣き続けた。


授業開始のチャイムを泣き声でかき消すほど 堪えずに泣き続けた。


「……っうぅ…っう…くっ…。」


規則正しいリズムで私の頭をぽんぽん弾く佐々木くんの手は 切ないほどに頼りがいがあった。


「……高木?」


壊れてしまいそうなほどに優しい声。


ドキッ。


あぁ 剛 本当にごめんなさい。


だけど 今の私はこうしていたい。


「……高木…。」


私の泣き声が落ち着いていくと 優しく佐々木くんが促すように言った。


「…そんなに辛いなら なんで一昨日のあの時 話してくれなかったんだ?」


「…っ……だっ……て…。」


息が整わず 言葉が空回りする。


深い深呼吸も 荒れた呼吸が邪魔してできない。


「……いいよ ゆっくりで。 まだまだ時間あんだから 焦らずいこう。」


すーっと私の中に入ってくる佐々木くん。


グラウンドから聞こえる 体育のかけ声。


「…相澤くんって…っ…モテる?」


声が上ずりながらも まず聞きたいこと。


そして 自己解決。


「…モテるよね。 だってかっこいいもんね。 …っ。 バカだった。 かっこいいって話したときに気付ければ…っ。」


「待った 待った!! どういうことなんかさっぱり…。」


顔を上げると 困ったように笑う佐々木くん。


距離の近さに驚くと同時に こんな顔だったんだって改めて思う。




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