*9月26日* ―それでも君が好き―
「……夏架と砂依っていう クラスでいつも一緒にいる子が2人いるんだけどね。 最近 なんだか距離感じてて 何でかなーってずっと思ってたの。」
胸ポケットで震える携帯。
気付いているけど気付かないフリ。
今は 佐々木くんに話を聞いてもらいたいから。
「…でも 感じてた距離の理由が分かったの。」
重い扉の横で 2人並んで座りこんで 寄り添いあって ゆっくり流れる時間にゆっくりと話を進めた。
「なんだったの?」
「…砂依は 相澤くんのことが好きだったの。 でも私 気付いてあげられなくて…。 私が相澤くんと仲良いから…。 でも聞いちゃったの。 私のことうざいって。」
雀が何匹か 屋上の柵に並んでとまった。
チュンチュンって愛らしく鳴く。
空は青くて ちょっとだけ雲が浮いている。
そこに向けてまた柵を飛び立つ雀。
もっとゆっくりしていけばいいのに。
ずっと飛んでいるのは疲れるのに。
あぁ 私は疲れていたのかな。
夏架と砂依にずっと気を遣っていたのかな。
「…お前はさ その2人が必要だったの?」
予想外の言葉に唖然とする私。
「…へ?」
「いや 普通そういうのって 一緒にいる子くらいには話すでしょ。 話さなかったのは お前が2人を必要としてなかったからじゃないの?」
言葉にしっかりと重みがあって 揺るぎない確信をもった佐々木くんの声。
「……私は……」