*9月26日* ―それでも君が好き―




鳥のさえずりも 舞散る桜の花びらも 優しく照り付ける太陽も 何もかもが美しい並木道。


まだまだ終わりが見えない 長い並木道に添って 私の家と潤の家がある。


近くはないが決して遠くはない距離。


それを抜けて 公園の近くに剛の家がある。


剛ともまた 近くはないが決して遠くはない距離。


だからきっと 乗る電車も同じだろう。


鼻唄を歌いながら 気付けば潤の家の前だった。


時刻はピッタリ約束の時間。


朝から小さな奇跡に小さなガッツポーズ。


その時 潤の家の扉があいた。


「奈穂 おはよう!!」


私とは違ってすごく可愛い潤は 制服だって私よりずっと似合っている。


「おはよう!!」


ぎゅっと抱き着くと 優しい匂いがする。


私はずっと思っていた。


潤みたいな子と私って 合うのかな?って。


だって 可愛いし優しいし頭いいし完ぺき。


だけど潤はいつも私に言うんだ。


「奈穂 ありがとう。」


「なっ何?? 改まっちゃって。」


笑いをこらえきれずに潤が吹き出す。


「あははっ!! 何か言いたくなって…!!」


"ありがとう"って言われる度に私は 潤に必要とされてるんだって思えた。




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