*9月26日* ―それでも君が好き―
口から出たのは突っ込んだ質問だった。
「…えっ?」
案の定 驚いた様子の砂依。
「…いや 別に特にないよ。 片想いだから 話しかけたりとかしないし 進展もないの。」
おっ 意外と話してくれる。
困ったように笑ったはずの砂依が どこか嬉し気に見えたのは 私がバカだったから。
「なんで話しかけたりとかしないの? 頑張れば 振り向いてくれるかもよ?」
もう書き途中のノートなんかどうだって良かった。
初めての砂依から聞く恋の話に私は釘付けだった。
だから 迂闊だった。
「…いや 叶わないからだよ。 分かるの 叶わない恋だって。」
そう こんなに寂しい顔してるのに。
「決めつけちゃだめだよ!! 協力するから 一緒にがんばろう。」
「……奈穂…。」
砂依の目にうっすら浮かんだ涙。
「…っえ どうしたの?」
手で涙を拭い いつもの笑顔を見せてくれた砂依。
強がっているのはすぐに分かった。
「…なんかごみ入ったー。 洗ってくるね。」
「…う うん。 大丈夫?」
笑いながら頷いて 教室を出ていった。
……聞いちゃだめだったかな。
何か…あるのかな。