*9月26日* ―それでも君が好き―




砂依が教室に戻ってきたのは 授業が始まってからだった。


砂依が教室に戻ってくる少し前に 砂依から入ったメールをバレないようにこっそりもう一度見直す。


――――――――――
from. 砂依
件名/Re:
--------------------


さっきごめんね

目洗ったけど 痛かったの
だから保健室行ってたんだ
大丈夫だから気にしないでっ


――――――――――


んー ほんとかな。


…でも もし砂依に何かあるとしても 砂依が私に話したくないなら無理に聞いてはだめ。


分かってはいるつもりだけど 気になるんだよね。


「……では ここの問題を高木さん。」


「えっ!?」


うぅ 何も聞いてなかったょ。


問題も意味分かんない…。


「…えっと もう一度お願いします…。」


肩を小さくして言う。


「ぼーっとしていても 勉強にはなりません。頭にも入りません。ちゃんと聞いていなさい。」


ピシャリとどぶ厳しい一言。


「…すいません。」


眼鏡を人差し指で直して チョークの粉がついて白くなったスーツを払った。


切れ長の目はまだ私を見たまま。


「…すいません…。」




< 54 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop