*9月26日* ―それでも君が好き―




相澤くんはきっと 女の子を扱うのに慣れている。


ふわっと私の髪を触って 優しげに微笑む。


ドキッ


「…教えて?」


……っ


「離してよ 何のマネなの一体?」


むすっと冷めた顔で見返すと なにやら呆れたように言った。


「ほんと 手強いね〜。」


そっと髪を離して 今度は十分に距離を保って。


「そんで? いいことって?」


「ふふふーん♪」




その日のお昼ご飯。


「奈穂 行くよー。」


久々に5人で集まることになったのだ。


廊下をルンルン跳ねる私に 大人しく隣を歩く潤。


「はぁ 相澤に話したって本当?」


「ウソはつかないよ。」


よく晴れたその日は 照りつける太陽の光が眩しくて 夏の訪れを教えてくれた。


「教えて悪いことなんてないでしょう?」


だけど窓から入る爽やかな風は やはりまだ涼しい。


「そうだけど…。」


「心強いと思わない?」


夏は私に勇気をくれる。


そんな気がしていた。


「まぁね。」


好きだと言う気持ちを認めてから初めて一緒にお昼ご飯を食べる潤。


佐々木くんは 潤の気持ちを知ったらどう思うだろうか。


少なからず 喜ぶだろう。




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