*9月26日* ―それでも君が好き―
他愛ない話をしながらだから 学校にはあっという間に着いた。
今日から私が毎日通う学校。
「望みが丘高校…。」
門に堂々と聳え立つ桜の木が 私たちを出迎えた。
「桜…。」
私たちはバカみたいな話をするのをやめていた。
ドキドキって 心臓がうるさいから。
「緊張するねー…。」
歩きながら 校舎やグラウンドを見渡し圧倒される。
土間ではクラス表が張り出されていた。
そこに見つけた 誰よりも輝く人…。
「奈穂!!」
ドクン…
「あれ 宮津じゃない?」
潤がそういった頃には 私は走り出していた。
「剛ーっ!!」
思いっきり剛に抱きついた。
人目なんて全く気にならなかった。
「奈穂 いい匂いすんな。」
「はははっ!! 剛ってば変態…!!」
優しい温もりに包まれたら 離れたくなくなっちゃう。
私は こんなにも剛が好きだよ。
後ろから潤が小走りで駆け寄ってくる。
「あらまー 入学式早々に公認のカップルですか。」
全くの呆れ顔。