*9月26日* ―それでも君が好き―




「なぁ宮津 ちょっと来い。」


いきなりガタッて席を立った相澤くん。


怖い顔で剛を強く睨み付けている。


「……相澤…くん?」


初めて会ったとき 話したとき 彼を落ち着いた人だと私は言った。


そう思ったから。


だけど もしかしたら彼は 誰よりもずっと子どもなんじゃないだろうか。


欲するもの欲するままに。


「うん そろそろかなとは思っていたさ。」


徐に席を立つ剛。


「ちょっと どうかしたの?」


そう尋ねるのは私だけ。


潤と佐々木くんは 顔を見合わせて。


きっと 何か同じことを考えているんだろうな。


相澤くんに遅れて後ろを歩く剛。


2人は確かに あまり仲は良くない。


だけど だからといって何か派手にケンカしたことだってない。


………本当にどうかしたのかな。


「奈穂 大丈夫だって。 何不安そうな顔して。」


妙に大人ぶって言う潤。


「だって あんな怖い顔して 私なんて全く無視で 気になるじゃない。」


「大丈夫だよ。 高木にはあんま関係ないんじゃないのかな?」


佐々木くんだって 珍しく優しく言う。


あぁー 2人って嘘吐くの下手だね。


何か 私に関係することなんだ。


どうか もっと良い仲になりますように。




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