*9月26日* ―それでも君が好き―




*怜也side*


初恋は幼稚園の同級生。


初めて付き合ったのは中学1年生。


ファーストキスはその翌年。


恋多き男だった。


だけど 付き合うのは絶対に好きになった人だけだった。


恋が多く 女の子との付き合いも慣れている俺だけど 恋には誰よりも臆病だった。


そして たらしだの女好きだの言われてきたが 案外一途なんだよ。


高校に入って 中学の頃に付き合っていた先輩と再会を果たし 更に綺麗になった彼女に言い寄ってみたらもう彼氏がいると。


それがいわゆるきっかけかな。


『ごめんねっ怜也。 受験だから親が別れろって。 私が行く高校に入って 私に会いに来て。 それからまた始めよう。』


なんだ 口だけか。


それで プチッ て音がしたんだ。


何かが切れる音。


…いや 俺が信じてきたものが壊れる音。


そして見つけた 恋の始まり。


「…分かってんだろ? けっこー俺本気なんだよ?」


ガタンッ


重い屋上の扉が大きな音をたてて締まる。


だが 強く吹き付ける風にかき消されていた。


「…渡さねぇよ お前には。 ってか誰にも。」


恨めしいくらいに青い空。


眩しいほどに青い空の下 宣戦布告。


あれっ ひょっとして俺 今結構イケテんじゃね?


「高木が好きだ。」


にやって笑う宮津。


わー コイツこういう奴だったのかよ。


あんま話したことないからな。


「高木が好きなんだよ すんげー好きなわけ。 だからまぁ言うまでもないか。」


「宣戦布告……だろ?」




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