*9月26日* ―それでも君が好き―




「あーもうっ やーめた!!」


「あっそう。」


怜也と俺の家は目と鼻の先。


怜也が立派な一軒家で 俺はそっから100mくらい離れたマンションの6階。


その立派な一軒家の前で立ち止まると 怜也がゆっくり口を開いた。


「……アイツさ 口だけだよ本当に。 だけど ちょっと期待とかしちゃう自分もいんだよ。 それがまたムカつく。」


きっと 俺にしか言えないことを吐き出そうとしてる。


怜也の第一印象は "うわっ 俺の苦手なタイプ。"


だけど ここまで付き合ってんのはアイツの孤独な部分が分かってやれるから。


ちょっと金持ちで 女にモテて 学力もそこそこある。


俺だって性格以外は羨んだりする。


だけど怜也は 自分のことあんま好きじゃないみたいなんだ。


器用な性格のくせに 自分のことに関しては不器用。


「アイツ追いかけんのやめた。……お前はまぁ 頑張れ。」


「ぷっ…!! 何だよお前は。」


マジで 怜也って俺にとって結構大きな存在。


「じゃあな。」


怜也の家から俺の家までの道。


細い道を縫うように歩きながら 怜也のことを考える。


橘 なぎさ。


怜也が追いかけてた例の先輩。


長身で色白で だけどケバい感じの人。


髪が長くて茶髪。


俺も話したことがある。


『あっ 健吾くんだー!! 怜くんと仲良いんだってね。』


っとまぁ こういうタイプ。


俺は全力で嫌いだけど。




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