*9月26日* ―それでも君が好き―




怜也はこの橘さんに出会ってしまったが故に 手放したものがあるんだ。


今はもう何もかも忘れて 新しく歩みだしているのかもしれない。


だけど俺はずっと心残りだった。


怜也はともかく アイツは絶対にまだ忘れられてないだろうから…




事が動き始めたのは あの日のお昼休み。


たまたま一緒の席にいた 大峰の友達…というか親友。


怜也が驚くほどのスピードで惚れたんだ。


しかも 彼氏アリの普通の女の子。


高木 奈穂。


俺はびっくりだった。


ケバいか妙に美人かどちらかしか好きになったことのない怜也が ケバくもない 美人でもない子を好きになった。


しかも 有り得ないほどときめいている。


分かる気はするんだ。


可愛いし 面白いし なつきにくいところがまた良い。


もし俺が 大峰と出会う前に高木と仲良くなっていたら 気持ちが変わっていたかも分からない。


話せば話すほど 彼女の良さは溢れるように知ることができた。


そんな高木を彼女にもつ宮津 剛。


同じ野球部で なかなか面白いやつ。


俺は案外好きな方だ。


宮津も怜也が高木のことが好きだってことには気付いている。




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