*9月26日* ―それでも君が好き―




「奈穂はなんか放っておけない。 人に媚びたりしないし 性格はあまり女らしくない。 男っぽいって訳じゃなくてな。 だけど 強がってる分本当は悲しくて 他人には分からない何かを持ってるような なんか遠い存在のような気がするんだ。」


理解はできなかったが ぼんやりとは分かる気がした。


他の女子に比べて ベトベトした媚びる感じが全く無く むしろちょっと冷たい。


だけど たまに見せる笑顔は誰よりも輝いて見える。


この子の特別になりたい。


そう思えるのはきっと 高木をよく知ることのできた者だけなのだろう。


そして高木を知ってしまった2人の男が今 彼女を賭けて争っているわけだ。


「…相澤の家に今奈穂がいるってだけで腹立たしいわ。」


「可愛い可愛い彼女がね〜。」


ちょっとからかっていっただけなのに 本気にする宮津の顔は Sの俺には堪らない。


「次言ったらマジで殴るぞ。」


それくらいに 高木が大事で 好きで 愛しくて 儚くて。


宮津はすごくいい恋をしている。


高木について話す宮津を見るのは初めてだが すごく良い顔をするんだ。


付き合うとは どういうことなのだろうか。


ふと過った大峰の顔。


俺が大峰ともし付き合ったら どんな仲になるのだろうか。


「佐々木 相澤ん家ってどこ?」


深く考え出す前に 宮津がそれを遮った。


「あぁ もうちょっと行ったとこ。」


「一軒家なんだろう? 確かけっこーでかいって。」


宮津が話しかけてくれて良かった。


考え出したらきっと 今からを楽しめなくなる。




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