*9月26日* ―それでも君が好き―




「Happy birthday!!」


グラスが高く上がり 涼しい音を響かせる。


「ありがとう。」


照れながらも素直に言えた言葉。


右には怜邪 左には大峰が座っていた。。


仲良く隣に座った高木と宮津に視線を這わせる怜邪が隣だったから 自然と話し相手は大峰だった。


「はい 誕生日プレゼント。」


左隣の大峰からすっと差し出された 赤いラッピングの小さなプレゼント。


「えっ。」


ありがとうの前にぷいっとそっぽ向いてしまうのが惜しい。


フライドポテトを口一杯に頬張ってから 油がついた手をよく拭いてプレゼントに手をかけた。


白のリボンをするすると解いて 赤い包みを丁寧に剥がしていく。


あらわれた青いドット柄の箱。


「箱っ?」


思わず声が出てしまった。


すると大峰がビクッとしてから振り向いた。


「あっ ちょっと今開けないでよ!」


恥ずかしそうに言うから 「分かった分かった。 家で開けます。」 そう言ってカバンにしまい込んだ。


好きな人にもらった誕生日プレゼント。


「おめでとう。」 それだけでも腹一杯なのに 今日はなんて贅沢な日なんだ。


心から 高木に感謝だな。


ばちっと目があった高木が にこって優しく笑いかけてくれた。


そんな俺の誕生日 6月8日。




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