*9月26日* ―それでも君が好き―

*6月20* -動き出した大きな想い-





佐々木くんの誕生日パーティーは大成功だった。


潤も佐々木くんも ありがとうと言ってくれた。


あれから夏は確実にやってきていて 外での運動は汗ばむようになった頃。


廊下を歩いていたら たまたま見えた。


あの一件で私が泣いた屋上で 佐々木くんとキレイな女の人が何か話していた。


思わず立ち止まって目を凝らしてよーく見てみると。


「あ 健吾だね。」


振り向いたら触れてしまうほどに顔を近くに寄せて 相澤くんが言った。


「っわぁ。」


「そんなに怖い顔して何を見ているかと思ったら 健吾がどうかしたの?」


全く平気な顔してさらっと言われたことに 自分だけドキッとしているみたいで嫌だった。


「たまたま見えたから。」


わざと愛想悪く言うのはもうお決まりな感じだ。


相澤くんも眼鏡をかけ直して目を凝らすと 「あれって…。」と小さく言った。


さっきまでのふざけた雰囲気とは違って その瞳のようにきりっと顔が強ばった。


「あの3年生 知ってるの?」


私が聞くと 相澤くんの表情は一瞬で 強ばったものからいつもの笑顔に戻った。


「別にー。 キレイな人だなってね。」


にこって笑って見せてから相澤くんは 私の肩を両手でトンと叩いて言った。


「さっ奈穂ちゃーん 授業に遅れちゃいますよー。」


「ちょっと また奈穂ちゃんって。 呼ばないでって言ってるでしょ。」


肩にのった両手を身をよじらせどかせると 相澤くんがちょっと寂しそうに笑って 「ごめん つい。」っと言った。




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