*9月26日* ―それでも君が好き―




夏架と砂依とのことで泣いていたとき 結局助けてくれたのは佐々木くんだった。


剛には話していなかったから 剛じゃなかったのは仕方がないのだけど ちょっと寂しかったし 佐々木くんに頼ってしまった自分に後悔した。


剛が知ったらきっと悲しむ。


少なくとも私ならそうだ。


手をぎゅっと握ったこと 胸をかりて泣いたこと。


私はきっと 最低だ。


ふと窓の外に目をやると 電線に雀がチュンチュンと鳴きながら止まっているのが見えた。


確かあの日も…。


屋上の柵に止まった雀が ちょっと休んでまた飛び去ってしまったのを見て 疲れないのかな?って思ったんだ。


つい最近の事が こんなにも懐かしく思えるだなんて。


高校に入学して あと少しで3ヶ月になる。


なのに 色々な事がありすぎて もっと多く時間を過ごしたような気さえする。


だけどきっと そう思えるのも今のうち。


きっと3年間なんて 中学校よりもあっという間に過ぎてしまう。


もっと時間を大切にすべきだ。


もっと自分の気持ちに正直に やりたいことをやって なりたいようになって。


迷ったら常識に反することでも 自分の好きな方を取ろう。


流れる雲を眺めていると 気持ちもすーっと穏やかになる。


嫌なことも全部 忘れてしまえる。


嫌なことも………全部……




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