*9月26日* ―それでも君が好き―




私がルンルンで言ったら 相澤くんはますます悲しい顔で返した。


「そっか。 俺はいいや。」


「えっ なんで? 体調悪いの?」


いつも元気な相澤くんがここまでしょんぼりしていると すごく心配になる。


「…うん ちょっと。 今日はもう帰るわ。」


悲しい表情を残したまま 優しく微笑んでくれた相澤くん。


強がりなのはよく分かった。


「…何か話したいことがあったんでしょ?」


自分の席に戻り 帰る支度をする相澤くんの背中に聞いた。


「大したことじゃない。」


冷たく返された。


いつも冷たくするのは私で 私が何を言っても私に付いてくる そんな存在だった相澤くんに冷たくされたのは 自分が思っていた以上にショックだった。


私が何も言えずに戸惑いながら立ち尽くしていたら 荷物を詰め終えたカバンを肩にかけた相澤くんがにこっといつもの笑顔で言った。


「じゃあね 奈穂ちゃーん。」


ぽんと私の頭を叩くと 足早に教室を出ていってしまった。




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