「恋」って何だろう。

――トントン
後ろから肩をつつかれた。私は恐る恐る振り向いた。
「ねぇ、キミってあの時俺に道教えてくれた子だよね？」

「えっ!?あぁ〜そうだよ……」

「まさか同じクラスになるとは思わなかったよ。あ、まだ名乗ってなかったな。俺は西塚夏樹。キミは？」
「なっ永原瑠花だよ！」

「永原さんかぁ。これから、よろしくな。」
笑顔がまぶしい――この人は太陽の子なんじゃないか。

若い男性が教室に入ってきた。黒いスーツを着ている。多分先生であろう。席を離れていた子たちは、慌てて自分の席へ戻っていった。

「はい、これから１年２組の担任になる、森野健二です。まぁ、詳しい自己紹介は後にして、そろそろ入学式なので皆さん廊下に整列してください。」
みんな、ぞろぞろと移動していく。
「出席番号順に並んでください」
出席番号順か。西塚君の前だ…。私の心臓はまた反応してしまった。

ほとんど整列できた時、不意に後ろを向いてしまった。
わわ、西塚君と目が合った……。
すると西塚君はニッコリと笑ってくれた。
私も笑い返した。すると、前の人の足音がした。ヤバい、移動始まっちゃった！私は急いで前の人を追いかけていった。

西塚君が、私に笑いかけてくれた――もしかしたら、大好きなメロンパンの食べ放題よりも嬉しいかもしれない。

恋ってこんなに甘酸っぱいものなんだなあと、私は思った。