「恋」って何だろう。
教室についた。

そろそろホームルーム、というところだったのでクラスのほとんどの子たちが来ていた。

先生が入ってきた。

「ホームルームしまーす。席に着いてください」

「では、自己紹介を。僕は、毎年1年生を担当している森野健二です。趣味はクラシック音楽の観賞。どうぞよろしく」

趣味、紳士っぽいなあ。みんなそう思っている感じがする。

「えー、ではこれから自己紹介カードを配布します。できれば明日までに書いてくるように。」

明日までかぁ…。面倒くさいな…

「永原さーん、あのさ〜」
――西塚君に声をかけられた。心臓が高鳴る。

「今日の放課後、これ一緒にやらない?」

「う、うん!いいよ!!」

西塚君に誘われるだなんて、夢にも思わなかった。顔、ちょっと赤かったなぁ。やっぱり可愛い――。

「一時限目は国語です。教科書等は授業中に配ります。静かに授業を受けましょう」

号令がかかった。

国語の先生ってどんな先生なんだろう。できれば優しい女の先生がいいな。


――ところが。


入ってきたのは、中年の太ったおじさんだ。しかも二次ヲタっぽい。


「一年間国語を担当する野口です。くれぐれも私語はしないように。」

うわぁ…怖い…。


その時、野口先生が自分の筆箱を取り出した。その筆箱にはなんと――ちょっとアダルトなアニメに出てくる女の子の缶バッチがつけてあった。


「うへぇえ…キモ」

クラスの誰かがそう言った。あいにく、先生は気づかなかった。




4時間の授業も終わり、楽しいお弁当タイムがきた。

「瑠花!!屋上いって食べようよ♪あ、西塚君もね」

「うん!」


西塚君、ほんっとカッコいいなぁ…私はどんどん西塚君のことを好きになっていった。




「屋上到着ー!」

「おう。今日は天気いいな。」

「小春日和だねぇ…」

「あぁ、それよりもお弁当食べようよ♪俺腹ペコなう〜」

「うふふ、西塚君面白いね♪」


あれ…煌って西塚君のこと好きなのかなあ?さっきからボディータッチばかりだし、西塚君の前と私の前での笑顔が違う……。

「どうしたの?瑠花もお弁当食べよ?」

「あ、うん!そう…だね……」

私の様子の変化に気づいているのか、煌は「?」という顔をしていた。



……もし、煌が西塚君のことを好きだったら、どうしよう。煌ルックスいいし面白いし運動神経抜群だし…。


なんだか、今日のお弁当はあまり美味しく感じなかった。
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