スカイグリーンの恋人


制服姿でコーヒーを運ぶのは最高の気分だった。

席で僕を待っているお客さまの顔が、カフェの時より全然いい。

ラテに描かれた絵の説明を求められることも少なくない。

技術的なことを説明すると 



「こんなに細かい絵が描けるなんて レントさん すごいです」 



なんて、尊敬のまなざしで僕を見てくれるのだから、かなりいい気分だ。

僕が機内でラテアートのサービスを始めると、あちこちから 

「制服とエプロンってステキよね」 って声が聞こえてくる。 

制服の上にギャルソンエプロンをつけるのは、女性のお客さまにとって

かなりツボだと知った。


中には、うっかりコーヒーをこぼしてしまうお客さまもいる。

そんなときはあわてず、まずはお客さまの服にシミが残らないように

処理をし、こぼれたコーヒーの後始末をする。 

「お怪我はありませんか」 と声をかけることも忘れない。

時に出される軽食など、狭い座席で食べ慣れないお客さまのトラブルも

発生するが、そんなときの対処は僕の得意とするものだ。

カフェの経験がかなり役に立っている。



「廉人君が冷静に動いてくれるから 安心して任せられるわ」



と、佐名子さんに頼りにされるのは、かなり嬉しいものだった。

今日も僕はエプロンをきりっと締めて、次々とはいる注文に追われている。



 
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