スカイグリーンの恋人


どこまでカッコイイ大人の男なんだ。

この人から佐名子さんを奪うのは難しいだろうな……

なんて考えていたら、心で呼んでいた人の名前が聞こえてきてドキッとした。



「佐名子も君たちのことを褒めてたぞ 

三人がいてくれたからトラブルが最小限に抑えられた

彼らが守ってくれたと言ってたよ」


「そうですか……僕らも必死だったので」



だよな 絶対チーフを守らなきゃって思った と廉人が言い、

うんうん と心さんも頷いている。



「あの場をなんとかしたくて がむしゃらでした」


「好きな女を守りたいってのは男の本能だ 

誰だって必死にも がむしゃらにもなるだろう」


「はっ?」



それって、僕らが佐名子さんを好きだってこと、小野寺さんも気がつ

いてたのか……

急に居心地が悪くなった僕らへ、小野寺さんが意味ありげに笑う。



「君らと同じだ 好きな女を守りたい一心だった 体が勝手に動いていた 

僕も必死だったからね」 



さらに追い討ちをかけ、とどめを刺した。


 
「ですよねぇ 佐名子チーフを助けたのは小野寺さんですから 

あぁ 愛の力は偉大だぁ……」



廉人が大げさにガクッとうなだれた。

廉人の脇腹を僕が小突く。

心さんが僕の背中を突付く。

顔を見合わせた3人の思いは同じ。

佐名子さんは手の届かないところにいってしまったということ。


怪我を負ったのに幸せそうな顔の小野寺さんに見送られ、僕らは病室を

あとにした。





「ほら 見ろよ」 と心さんの声に空を見上げると、見覚えのある機体が

目に入った。

小さく見えるが特徴から 『グリーン・エアライン』 の機体だとわかり、

みなで頷きあった。

空を見上げながら、いつのまにか明日の仕事の話になっていた。

後ろをむいてばかりはいられない。

そんな思いが明日の話を引き出したのかもしれない。


また誰かを好きになることがあるのだろうか。

できるなら、片思いで終わらせたくはない。

いつかめぐり合う出会いを大事にしたい。

見えなくなった機体を見つめ続けた。





                    ・・・ 終 ・・・







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