華-ﾊﾅ-

「ママ」



あたしが泣いてるからか、圭介も泣きそうな顔をして、あたしの足の上に座ってきた。


そして、その小さな手で、あたしの涙を一生懸命拭いてる。



「圭介？」


「いーや！」



泣いたらイヤだと……



「圭介、ごめんね。ママ、もう泣かないから」



そう言って、ぎゅっと抱き締めた。


そういえば蒼太や優華が圭介くらいの頃、あたしが優太の死を受け入れられずによく涙を流してて……


二人に不安な思いを抱かせちゃったんだっけ。


そんな時はいつも、痛めていたあたしの胸を撫でて、



『いたいのいたいのとんでいけー』



ってしてくれたんだ。


でもいつの間にか、そういうのがなくなっていた。


ううん、“いつの間にか”じゃない。


そういうのがなくなったのは……



……舜と出会った頃。