華-ハナ-
電話
その夜――…


子供達が寝静まったあと……



「今日はついてきてくれてありがとう」


「いや、少しでも前へ進めて良かったな」


「うん」



入り込んだ話はなかったけれど、お母さんに恋人がいたことがわかったし、写真でいろんなお母さんを見ることができた。



「ねぇ、舜」


「ん?」


「あたし、……電話してみようかな」


「電話?」



お母さんのことを知りたいと思いながらも、知ってる人が全然いなくて……


やっと知ってる人がいたのに、お父さんに繋がる情報がまったくなかった。


知りたい知りたいと言いながら、自分からは全然行動を起こさなくて……


そんなふうにしていたら、いつまで経っても何もわからないままなんだ。
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