華-ハナ-
それからは街中に入ったせいで、ますます進まなくなって……


渋滞にハマっている間、頭の中はこれから会う川越さんのことばかりになった。


話をしたいと言ったのはいいけれど、実際に会ったら何を話せばいいのか。


ボーッとしながら、窓の外を眺めた。


無意識に“はぁー”と息を吐く。


それを舜が見逃すわけもなく、



「絢華?どうした?」


「あ、舜」



舜の方を見ると、明らかに心配そうな顔をしている。



「これからのことを考えると、不安でいっぱいになる?」



あたし、何も言っていないのに……


舜には何でもわかっちゃうんだね。



「俺には何でも言えよ?1人で抱え込むなよ?」


「うん、ありがとう」



そう言うと、舜の手が頭に伸びてきて、やさしく撫でてくれた。
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