華-ハナ-
その夜――…


川越さんが用意してくれた旅館に泊まった。


夕食を食べて、温泉に入って、子供達が寝たあと、舜と二人で飲んだ。


といっても、あたしは凄く弱いから、コーラだけどね。



「なあ、絢華」


「ん?」



舜がビールを飲みながら、少しトーンを落として話しかけてきた。



「川越さんが、絢華の父親って可能性はないのか?」


「えっ!?」



川越さんが、父親?


そんなこと……


考えもしなかった。


でも……


ありえる話。


そう思ったら……


心臓が痛いくらいに、バクバクと動き始めた。


川越さんが、お父さん?


思わず右手で左胸をつかむ。


痛い……


胸が、痛いよっ……
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