華-ハナ-
「絢華?」



舜が心配そうにあたしの顔を覗き込んできた。



「大丈夫か?」



舜の大きな手が、あたしの頬を包む。



「舜、……どうしよう」


「何が?」


「あたし、そんなこと考えもしなかった」



川越さんと初めて会って、お母さんの知り合いだってわかった時、お母さんの恋人には若すぎるって思ったから、勝手にそういう対象から外してしまっていた。



「ん、そうだと思ってたよ」



舜の表情は凄く柔らかくて……



「なんで?」


「だってさ、絢華、川越さんと話してた時、そんな素振り全くなかったし」



確かに、川越さんがお母さんと付き合っていたという事実があまりに衝撃で、そんなことまで頭が回らなかった。
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