華-ハナ-
「うん、訪ねてきたの……お母さんのことを」


「誰が?」


「お母さんの恋人だった人」


「マジ?」



太一さんは、ビックリしたのか、息をつく暇もなく、声を発する。



「その人が、父親なわけ?」


「うーん、どうかな。たぶん、そうじゃないかなって」


「どんな人?」


「そうだなぁ、とってもいい人だよ。お母さんのことを凄く愛してるって、感じるし」


「そっか。その人が父親だといいのにな。優太もきっと、そう思ってる」


「うん」



優太の遺影の横にある、お母さんに視線を移す。


お母さんが亡くなったのは、ちょうど今のあたしくらいの年齢。


もしあたしを生まなかったら、川越さんとの人生があったのかもしれないな。
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