華-ハナ-
「須藤ちゃん?どうした?」



いつの間にか、涙が頬を伝っていて……



「お母さんは幸せだったのかなって思って」


「優太が幸せだったように、お母さんも幸せだったと思うよ、俺は」


「優太も?」



太一さんはやさしく微笑んで



「優太のほんとの笑顔は、須藤ちゃんしか引き出せなかったからな」



優太のほんとの笑顔……


目の前にある優太の遺影に視線を止める。


あたしはこの笑顔が大好きだった。


ううん、今でも大好き。



でも――…


お母さんは、ほんとに幸せだったのかな。


あたしを産んで後悔しなかったのかな。


川越さんと写っていた写真の、あの幸せそうなお母さんの顔が、頭から離れない。
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