華-ハナ-
「でもさ、俺からすれば太一さんもただの男で、面白くねぇって思っちゃうんだよ」


「……」


「ましてや、涙見せるとかあり得ねぇ」


「で、でもっ!」



太一さんはあたしにとってお兄ちゃんで、優太のことに関しては何でも頼ってきた。



「カッコ悪ぃって思う?」


「えっ、何が?」


「こんなふうに嫉妬する俺のこと」



嫉妬?



「カッコ悪いなんて思わないよ。でもね、舜」



あたしの横に座って、肩を抱いている舜の顔を見上げながら



「太一さんはあたしにとってお兄ちゃんなんだ。それ以上でも、それ以下でもない」


「そんなことは、わかってる」



舜は眉間に皺を寄せながら、吐き捨てるように言葉を発した。



「だったら」


「それは絢華の気持ちだろ?太一さんがどう思ってるかなんて、絢華にはわかんねぇだろ?」
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