華-ハナ-
その夜――…


優太の遺影の前で、優太が好きだったメーカーのビールを、グラス二つに注ぎ……


一つは優太に、一つは手に持ってコツンとグラス同士を合わせた。



優太……


もしかしたら、あたしのお父さんが見つかるかもしれないよ。


優太といた時は、親がいなくて、ずっと二人で寄り添って過ごしてきたよね。


あれはあれで楽しかったんだよ。


親がいなくても優太がいたから、あたしは幸せでいられた。


今さらお父さんが見つかったとしても、正直どうしたらいいのかわからない。


でもやっぱり……


会ってみたい。



ねぇ優太……


優太の両親はどこにいるのかな?


優太のことを探したりしていないのかな?


川越さんに、お母さんに会ってもらいたいように……


優太の両親にも、優太に会ってもらいたいよ。
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