華-ハナ-
「絢華?」



バスルームから出てきた舜が、あたしのもとへやって来た。



「珍しいな、ビールなんて」



確かに。


いくら優太の命日だからって、今までこうやって、ビールを飲もうなんて思ったことはなかった。


あたし、アルコールに弱いしね。


しかもビールは苦いから苦手。


でも、今日は優太との時間を思い出して飲みたくなった。


いろんな話をしたくなった。



「なんかあった?」



舜がバスタオルで髪を拭きながら、心配そうに聞いてくる。


でも、優太の両親のことを考えていたってことが、すぐに言葉にはならなくて、黙りこくってしまった。



「俺って、やっぱ頼りない?」


「ち、違う!」



あー、あたしまた舜を不安にさせてる。
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