華-ハナ-
「いつもと同じだと思っていたんだ」



川越さんの表情が、突然歪み始めた。



「あの頃の俺はほんとにガキで……ただ会えることが嬉しくて、ただ触れ合えることに幸せ感じて……でも――…」



ここまで話した川越さんは、歯を食い縛るように口元に、きゅっと力を入れた。


そしてそのままお母さんの遺影へと視線を移す。



「あの日の華が、いつもと違っていたと気付いたのは――…華が姿を消したあとだった」



今度は大きな手で、両目を覆うようにしてうつむいた川越さんは、小さく肩を震わせた。


その姿に、あたしも胸が痛くなる。


後悔……


今、川越さんの胸の中は、きっと後悔でいっぱいなんだ。
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