華-ハナ-
「誠くん?……あ、佐伯くん?……舜くんのお兄さんなんだよね?」


「うん」



誠くんとも高校が同じで……



「坂井くんも佐伯くんも、絢華のことが好きだったんじゃなかった?」


「昔の話だよ」



もう10年か、それ以上になるんだもんね。


あの頃は、あたしには優太しか見えなくて……


告白されても、即効断ってた。


冷めた言葉を投げたこともあった。



「坂井くんと会うのは、卒業以来だな」



近くに住んでいても会うことはなかった。



「優太さんのお葬式に来てたよ?」


「あ、そっか。……うん、そういえばお香典もらった」



あの時、あたしはただ泣き崩れちゃってたから、誰が来てたか全然見てない。


誠くんが来てたのも知らなかったもん。
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