華-ハナ-
そのまま舜が運転する車に、あたしと川越さんも乗り込んで、墓地へと向かった。
その車内はずっと静かで……
後部座席に座った川越さんは、窓の外を見たまま動かない。
それにつられるように、あたしもずっと窓から外を眺めていた。
駐車場に車を止め、ゆっくりと歩みを進めて墓地に入る。
「ここです」
お母さんが眠るお墓の前に立つ。
川越さんはそれをゆっくりと上から下まで眺めたあと、お母さんの名前が刻まれている場所に、そっと手を添えた。
「……華……」
川越さんは今、どんな思いでその名前に触れているんだろう。
その横で、ここへ来る途中で買ってきたお花を、お母さんが眠るお墓に供える。
軽く手を合わせたあと、今度は優太の眠るお墓にもお花を供えて、手を合わせた。