華-ハナ-
優太との話を早々に終わらせて、舜とあたしはその場を去り、駐車場へ向かった。


川越さんはきっと一人になりたいはず……


優太を亡くした時、あたしはそう思っていたから。



無言のまま、舜の一歩後ろを歩く。


視線を下げているからか、一歩一歩前へ進む舜の足が見える。


人はこうやって、時間の流れと共に、前へ進んでいく。


時にはつまずいたり、転んで立ち止まったりする。


それでもやっぱり、いつかは前へ進む。


あたしは舜のおかげで、3年で前へ進めるようになった。


川越さんも、少しでも早く前を見れるようになるといいのに。


視界の中でリズムよく動いていた足が、突然止まった。



「絢華?」



そのままクルリと足の方向が変わり、視界が暗くなる。
< 196 / 247 >

この作品をシェア

pagetop