華-ハナ-
.


30分くらい経った頃だろうか……


後部座席のドアが開き……



「待たせて悪かったね」



そう言いながら、川越さんが乗り込んできた。


視線は川越さんへ向けるけれど、何と声をかけたらいいのかわからず、軽く笑みを浮かべた。


川越さんは目を赤く染めたまま、そんなあたしに微笑み返してくれる。


お母さんとどんな話をして来たんだろう……


もしかしたらこの二人は、あたしのせいで離れ離れになったかもしれないんだ。


そう思ったら、胸にキリッと痛みが走った。


それでも川越さんは、さっきよりもスッキリとした表情に見えた。



そのあとは、みんなが無言のまま、家へと車を走らせた。
< 198 / 247 >

この作品をシェア

pagetop