華-ハナ-
だけど……


舜にはすべてお見通しだったようで……


あたしの不安を拭い去ってくれるように、固く握られた拳の上から、大きな手を重ねてきた。


触れた瞬間、舜を見上げると……


やさしい瞳があたしを見下ろしていて、不安で押し潰されそうになっていた心臓が、少しずつ解放されていくのを感じる。


舜とあたしの間で暖かい空気が流れている中、川越さんが静かに口を開いた。



「今の俺には……、後悔しかない」



そう言いながら、顔を歪めた川越さん。


後悔……


それは、お母さんをすぐに探さなかったことかな?


そう思っていても、それを川越さんに聞くことができない。


そんなあたしの気持ちを代弁するように、舜が口を開く。
< 202 / 247 >

この作品をシェア

pagetop