華-ハナ-
「それは――、お母さんの、華さんの異変に気付けなかったことですか?それとも、姿を消したあと、すぐに探さなかったことですか?それとも――…」



そう言ったあとの舜は、ずっと川越さんの方を見たままで……


“それとも”のあとは、何?


川越さんも真剣な表情のまま、舜の方から視線をそらさない。


二人の間に、何か、不思議な空気を感じる。



しばらく沈黙が続いたあと、川越さんが“ふぅー”と息を漏らして……



「舜くんは、なかなか勘が鋭いね」



と、笑いながら言う。


さっきまでの張り詰めた空気を、一気に壊すような柔らかい笑み。


“勘が鋭い”?


いつもあたしも感じていることだから、それは認めるけれど、何に対して言ってるの?


全くわからない。
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