華-ハナ-
「華が、俺から離れた理由を――…」



そう言った川越さんの瞳は、溜まった涙で少し揺れながらも、あたしの方を真っ直ぐに見ている。


お母さんが、川越さんから離れた理由……


それは……


川越さんの瞳の奥には、強い何かを感じる。


お母さんへの愛?


それとも――…



なぜか、心臓がどきどきと激しく活動し始めた。



「絢華ちゃん」



ドキンッ――…



川越さんの真剣な声と眼差しに、心臓がさらに大きく音をたてる。



「それはきっと……華の中に、君が宿ったからではないかと」



トクン――…



それって……


川越さんは視線をそらすことなく、あたしの様子をうかがっているようにも見える。


……そう言ってる時点で、川越さんはあたしを自分の子だと認めているの?


今のあたしに、それを聞く勇気は――ない。
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