華-ハナ-
父娘
.


川越さんとあたしの涙が乾いた頃、お茶を淹れ直して、また向かい合って座った。


三人が三人とも、口を開かず沈黙が続く。


でも、だからって居心地が悪いわけではない。



ずっと目線を下げ、湯呑みだけを見ていたけれど……


なんとなく、目の前に座る川越さんから視線を感じ、顔を上げた。


すると……


とっても柔らかい笑みを浮かべながら、こっちを見ていた川越さんと……


視線が交わった。



初めて出会った時は、お母さんの知り合いだった。


それが、お母さんの恋人になり……


そして、今は――…


あたしの……、お父さん。


ずっと、その存在に触れることができなかった……、お父さん。


そう思ったら、あたしにとって川越さんは、凄く大切な存在なんだと、実感してくる。
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