華-ハナ-
あたしはいつもこの笑顔に、守られ、癒されてきた。


両親はいなかったけれど、あたしはあたしで、ずっと幸せな人生を歩んできたんだ。



「彼が……」


「えっ」



意識が舜の方へいっているあたしの左耳に、川越さんの呟くような声が入ってきた。


そのまま正面を見ると、川越さんは振り返って仏壇の方を見ていた。



「彼が亡くなってから……、絢華ちゃんはどうやって過ごしてきたの?」


「え」



彼って、優太のことだよね?


優太が、亡くなってから?


川越さんの、その質問の意図がわからず首をかしげる。


正面を向いた川越さんが、そんなあたしの仕草を見ながら言葉を付け加えた。



「だって、おばあちゃんと彼だけが頼れる存在だったんだろ?」



あ……


きっと、他に頼れる存在がいたかってことを聞きたいんだ。
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