華-ハナ-
「はい、あの頃は職場の人達にずいぶん助けられました。あたしだけじゃなく、蒼太や優華のことまで可愛がってもらったんです」


「職場って、あのファミレス?」


「はい。お父さん代わりになってくれた人と、お母さん代わりになってくれた人、そしてお兄ちゃん代わりになってくれた人……がいました」



そう口にしながら、頭の中に、店長と佳菜子さんと隼人さんの顔を思い浮かべると……


自然と笑みがこぼれる。



「……そっか」



でも川越さんの表情は、眉を下げているせいか、どこか悲しげで……


その当時にタイムスリップしたように、あたしまで切ない気持ちになってくる。



「それから舜と出会うまでの三年間が、一番辛かったのかもしれない」


「三年間?」


「はい。優太が亡くなってから、三年後に舜と出会ったんです」
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