華-ハナ-
あたしがそう口にした瞬間、隣に座る舜が体を少し起こして口を挟んできた。



「違うよ。出会ったのは、優太さんが亡くなった直ぐ後だよ。絢華が俺の存在に気付かなかっただけだろ?」



優太が亡くなった直ぐ後……


そうだった。


舜は、その頃からあたしのことを見ていてくれたんだった。


隣を見上げると、やっぱり柔らかく微笑んでいる舜がいて……


胸がきゅんと締め付けられる。


あたしからすれば、優太が亡くなった三年後だけれど、舜はあたしが一番辛くて悲しい思いをしたすぐあとから、ずっと見ていてくれたんだ。




舜から初めて声をかけられたとき、まさかこんな風に結婚するだなんて、思いもしなかった。


あの頃は、あたしの心には優太しかいなくて、舜の想いに応えようとも思えなかったんだ。


いつからだったかな……


舜のことを意識し始めたのは。
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