華-ハナ-
「二人はどうやって知り合ったの?」



今、舜とあたしの間に流れる空気と同じくらいの、柔らかい笑みを浮かべながら、川越さんが聞いてくる。


つられるように、視線をその声へと移した。



「舜は、あのファミレスの常連客だったんです」



話をしたことはなかったけれど、よく来る人の顔くらいは覚えていた。


笑顔が爽やかな男の子だなって思っていた。



「違う」


「えっ」



突然発せられた舜の言葉に、戸惑ってしまう。


違うって、何が違うの……?



「違う。常連客じゃない。絢華がいるから、あそこに通ってたんだ」



初めて聞く舜の言葉に、じわじわと胸が熱くなってくる。



「知らな、かった」


「はは、言ったことなかったっけ」
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