華-ハナ-
舜は、右手で髪の毛をクシャクシャとかきながら、少し照れ臭そうに笑みを浮かべた。


その仕草に、その笑顔に……胸がきゅんと締め付けられる。


わざわざあたしがいるからと、あのファミレスに通ってくれていた舜。


あたしが舜のことを知るずっと前から、そんな風に想ってくれていたなんて……


今、こんなにも舜のことを愛しているから、その言葉が凄く凄く嬉しい。



「絢華ちゃんの今の笑顔は、舜くんと出会ったからあるんだね」


「え」



あたしの、笑顔……?


そういえば、舜と付き合い始めた頃、紗羽にも言われたっけ。


優太がいなくなってから、あたしはうまく笑えなくなった。


蒼太と優華の前では普通に笑えていたけれど、それ以外では、笑ったつもりでもひきつっていたり、どこかぎこちないものだった。
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