華-ハナ-
あたしが一番恐れていたこと。


川越さんと出会って、数えるほどしか会ったことがないけれど、川越さんがそんな人じゃないってことくらい、わかる。


でも、少しでも不安に思うことは曖昧にはしておきたくない。


はっきりさせたい。


どきどきしながら、見上げた先にいる人の表情を伺うけれど、そこからは優しさとか温かさとか……そういうものしか感じられない。


心が、ポカポカと温かくなる。


そして川越さんは、穏やかな笑みを浮かべながら口を開いた。



「そんなこと、思わないよ……思ったこともない。もとはと言えば、俺の責任だからね。それに……自惚れかもしれないけれど、俺の子だから、華が命をかけてまで産んでくれたんだと思いたい。だからこうやって、絢華ちゃんを残してくれたことに、感謝してる」
< 225 / 247 >

この作品をシェア

pagetop